【コンサート開催録】2021.6.19 鐵百合奈さん

この日はピアナリアムがオープンして以来、
初めての雨天となり、お客様には足もとの悪い中でしたが、皆様時間通りにお集まりくださりました。
サロンの入り口にはユリが飾られ、お客様をユリの香りでお迎えしました。

また、雨天による多湿でピアノの状態が心配されましたが、除湿機とエアコンによる調節で、問題ありませんでした。鐵さんの魅力的な音色でホール内が満たされました。

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プログラム

前半

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」Op.27-2

ラヴェル:夜のガスパールより「オンディーヌ(水の精)」

ドビュッシー:子供の領分より「雪は踊っている」「ゴリーウォーグのケークウォーク」

静かな空間のなか、ベートーヴェンの月光から始まりました。
百合奈さんの音色が、漆黒の海に照らされる月の光を想像させました。
一つ一つの音色が輝き、海の深い所までのように、心の奥にまで響いてきました。

二曲目のオンディーヌは、
ピアノとホールのコンディションに合わせて、出だしの響きを調節されていたのが印象的でした。
その繊細な調節で、幻想的にもなり、不気味さが増したり、楽しげな雰囲気に変わる…
鐵さんの作曲家や楽曲へ真摯に向き合い、場所に合わせて最適な響きを探求する姿勢を感じました。

後半

ブラームス:8つの小品 Op.76

後半のブラームスはメリハリがあり、ピアノが生き生きし、印象に残りました。

4つのカプリッチョ(狂想曲または奇想曲)と4つのインテルメッツォ(間奏曲)からなります。
第2曲のロ短調の狂想曲はスタッカートの独特なメロディで、特に印象深かったです。
第3曲の変イ長調の間奏曲はGraziosoの指示の通り優雅な演奏で大好きな曲になりました。
そのほかの狂想曲や間奏曲もブラームスらしく、メンデルスゾーン風でもあり、ベートーヴェン風なところもあり、ハンス・フォン・ビューローが好んで演奏したといわれ、鐵さんにぴったりな素敵な作品だと思いました。

終演後は、鐵さんの2枚目のCDをご購入くださった方々にサイン会が行われました。

新発売のCD

鐵さんの新しいCDをさっそく聴きました。
発売前でしたが、演奏会場ということで特別に購入させていただきました。

素晴らしいアルバムです!
1枚目のアルバムのシューマン のソナタ3番も何度も何度も繰り返し聴きましたが、このシューマン のソナタ2番と1番のアルバムも、きっと何度も聴くことになると思います。

始まると教会の大聖堂で聴いているかのような感覚になりました。とにかく広い空間で、シューマンの激しく、時には歌うように、時には悲しく、そして慰められるような、心のひだに触れるような音楽だと感じました。
特に、ソナタ第1番 第4楽章の2回でてくる3拍子の悲しい旋律で、1回目は嬰ヘ短調の悲しいスキップの下降旋律からイ長調の右手と左手が交差するところ、2回目はハ短調で同じ旋律のところが好きです。そして、鐵さんの演奏は涙を誘います。

鐵さんは、心情や感性の微妙なニュアンスを見事に表現することができるピアニストだと思います。

お知らせ

最後になりますが、
ご来場のお客様には手指消毒と検温、そしてホール内でも決してマスクを常に着用していただき、
感染症予防にご協力をいただき感謝いたします。

そして、当日決定した鐵さんの次回 8月1日公演の発表があり、さっそく予約の受付を開始しました。
そのプログラムは大曲ばかりで、2回の休憩をはさみ2時間半近く行われる予定で、こちらもたいへん楽しみです。

【プログラム】
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番ニ短調Op31-2「テンペスト」
ブラームス:パガニーニの主題による変奏曲第2巻Op.35-2
—————– 休憩 10分 ——————–
ブラームス:ピアノ・ソナタ第2番嬰ヘ短調Op.2
ラヴェル:夜のガスパール
—————– 休憩 10分 ——————–
ブラームス:8つの小品Op.76
シューマン:ピアノ・ソナタ第2番ト短調Op.22
※曲目は、変更になる場合がございますのでご了承ください。

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