【演奏家さん紹介】鐵百合奈さん:緻密な楽曲分析と天性の表現力

鐵さんとの出会い

鐵百合奈さんのピアノを初めて聴いたのは、2017年1月28日、馬車道のスタインウェイサロンにて、黒岩航紀さんとの2台ピアノコンサートの時でした。
可愛いらしいお嬢さんかと思ったら、ラヴェルのラ・ヴァルスでのパワフルな演奏に、それでいてキラキラとした音色で、一瞬でファンになりました

その年の日本音楽コンクールの本選に登場し、サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番を弾いて堂々の2位を受賞、その圧倒的な情熱と繊細で豊富な音色で、思った通り、聴衆からの投票で一番多かった人に贈られる、岩谷賞を受賞されました。

それ以来、鐵百合奈さんのピアノ演奏に魅せられ、ベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会(美竹清花さろん)、エラールピアノ演奏会(迎賓館赤坂離宮)やべートーヴェンピアノ協奏曲0番(ミューゼ川崎)などを聴いてきました。

鐵さんがすごさは、東京藝術大学大学院博士課程在学中に柴田南雄音楽評論賞を2年連続受賞されており、学術研究者としてもご活躍されていること。ベートーヴェンのソナタ全曲演奏会や修士課程・博士課程演奏会でも楽曲分析も資料として配布されます。こうした緻密な楽曲分析をしたうえで、自然に表現される歌心もあわせ持っています(これは持って生まれた才能なのでしょう)。ベートーヴェンを弾くにはパワーが必要と思われるかもしれませんが、鐵さんは、ベートーヴェンのpp(ピアニッシモ)の多さに着目し、丁寧で繊細な、かつ構成力のあるソナタを奏でます。

鐵さんをお好きな方々の多くは「ベートーヴェンのソナタを聴いて以来…」と仰ります。ベートーヴェン好きの音楽愛好家も魅了する鐵さんですが、デビューCDはレコード芸術の準特選盤、毎日新聞の特薦盤に選ばれるほどの逸品で、シューマンの「ピアノソナタ第3番」やJ.S.バッハ=ブラームスの「左手のためのシャコンヌ」はしっとりと情感たっぷり込められている演奏は、CDでもかかわらず、聴くたびに涙が出てきます。



 今回ご縁があり、クララ・シューマンも愛したピアノ・グロトリアンを、ピアナリウムのこけら落としとして弾いていただけることとなりました。

どうぞ鐵百合奈さんの演奏をお楽しみください。

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